くらしかた/施工事例
「古き良き」と
「新しさ」の調和
この日本家屋ですが、実は30年前、
先代社長の森幹雄さんに建ててもらいました。
そして今回のリノベーションは、現社長の森昌智さんに。
日本家屋のリノベーションには、
構造に関する色々な知識や経験が特に重要と聞いたことがあったので、
この構造を熟知されている森工務店以外には考えもしなかったです。
現社長の森さんの仕事は、以前から拝見していて。
すごく丁寧で良いお仕事をされていたので、
やっぱり森さんにやっていただきたいなということで迷わずお願いしました。
「かつて父が施工した家屋を、次は子の手によって次世代へ繋がれていく」という
ストーリーも素敵ですよね。
以前から「あまり使われていない部屋を、人が集える場所にしたい」
という構想があって。
私が陶芸で制作した器を実際に手に取り、使っていただきたいという想いもあり
料理教室を開けるスペースにしよう、ということで
リノベーションがスタートしました。
F様邸
木造2階建て
設計/施工:株式会社森工務店
延床面積:133.06㎡(40.32坪)
作品である食器がメインとなる空間なので、食器棚をたくさんつくってもらいました。
ここは特にこだわったポイントです。
棚の幅を調整していただいたり、下部分の収納も造作なんです。
「どのくらいの幅が一番使いやすいですかね?」「収納は引き戸が取り出しやすそう!」と
実際の現場を見ながら細かく相談させていただけたので、イメージにぴったりで。
木材も必ずしも高価でなくても良い雰囲気になるように仕上げていただいて、
ここは本当に森工務店さんのセンスと技術力だなと感じます。
思い入れとこだわりの詰まった食器棚です。
テーブルはアンティークショップで購入したものを2枚つなぎ合わせています。
繋ぎ目は森工務店さんにコンクリートでアレンジを加えていただいたのですが、これが僕の好みにストライクで。
木の間に異素材が挟まっていて、質感のコントラストが面白いですよね。
キッチンも、少しエイジングされたような質感のデザインを選びました。
壁の色味は、陶器の色と合うように仕上げていただきました。
白い陶器が多いので、グレーの壁が映えるかなと。
グレーといえば冷たい印象になりがちなのですが、
木や陶器に囲まれているので、全体の雰囲気としてはあたたかい温度感になっていて。
相談を重ねて悩んだ甲斐があって、狙った通りの塩梅となり嬉しかったですね。
素材も壁紙ではなく、昔ながらの風合いが感じられるように塗っていただきました。
縁側で日向ぼっこをしていると、
あたたかい日差しと信楽の山をなでる優しい風に乗って、
鳥や虫たちの声も聞こえてきます。
この縁側も、リノベーション前からあったものを残していただきました。
ゆっくりくつろげるように椅子も置いて。
よくお客様もまどろんでいらっしゃいます。
何をどのように残すのかは、リノベーションを進める中で森工務店さんに相談に乗っていただきました。
お互いに、ここは状態が良いから残そう、貴重だし残さないと勿体無いよとか。
例えば建具は枠を残しつつ、すりガラスから透明ガラスに変えたり。
それだけでも雰囲気は変わりますからね。斬新な感じになって面白いんです。
リノベーションにあたり、新調した部分もあれば、あえて昔のまま残した場所もあって。
かつて使っていた囲炉裏の名残で、天井から出てきた煤の竹を一部、工房の方で使ったりもしています。
土壁も30年前に建て替えた時からあるもので、今では希少ですよね。
他にも今はなかなか使わない建具や素材ばかりで、日本独特の奥ゆかしい雰囲気が漂っています。
やっぱり、古いものって落ち着くじゃないですか。
それに先代が当時の技術を駆使して、高い精度でつくってくれたものなので、
大切に活用しながら、自分も、利用される方にも居心地の良い空間にしたかったんです。
この「古き良き」と「新しさ」の調和が取れているところが
森工務店さんならではであり、とても気に入っています。
向かいの工房で焼いた器を、造作していただいた棚に並べる。
お客様に触れてもらったり、料理を盛り付けていただいたり。
皆さんの笑顔の中心に器がある光景を見ると、なんとも幸せな気持ちになります。
森工務店さんにつくっていただいたのは、形ある“住まい”であると同時に、
人々の営みと流れる時間が交わった“生きる”そのものなのかもしれません。
F様邸
木造2階建て
設計/施工:株式会社森工務店
延床面積:133.06㎡(40.32坪)
